糖尿病の食事1400キロカロリーは何をどれだけ? ご飯の量や献立例、単位計算まで徹底解説
26/03/05 02:06
糖尿病の食事療法で「1日1400キロカロリー」と言われると、「何をどれくらい食べていいの?」「ご飯は茶碗にどのくらい?」と不安になりますよね。
そこでこの記事では、1400kcalの意味から単位計算、ご飯の量、具体的な献立イメージまで、ひとつずつ整理して解説します。難しい専門用語はできるだけかみくだいて説明していきますので、ぜひ参考にご覧ください。
糖尿病の食事療法で「1日1400キロカロリー」と言われたら

糖尿病の治療において、いきなり「1400キロカロリー」という数字だけを伝えられても、それが自分にとって厳しい制限なのか、それとも標準的な量なのか、イメージしにくいのではないでしょうか。まずは、なぜこの数値が設定されたのか、その背景にある「エネルギー摂取量の決まり方」について理解を深めていきましょう。
なぜ1400kcalなのか?1日の目標摂取カロリーの決まり方
糖尿病の食事療法における1日の摂取カロリーは、適当に決められているわけではありません。基本的には、その人の「目標体重」と「身体活動量」に基づいて算出されます。
計算式は以下の通りです。
【1日のエネルギー摂取量 = ①目標体重 × ②身体活動量】
<①目標体重の求め方>
・65歳未満:身長(m) × 身長(m) × 22
・65歳〜74歳:身長(m) × 身長(m) × 22〜25
・75歳以上:身長(m) × 身長(m) × 22〜25
※75歳以上の後期高齢者では、現体重に基づき、フレイルや身体機能の評価を踏まえて適宜判断します。
<②身体活動量の求め方>」
こちらは、普段どれくらい動いているかで決まる係数です。
・軽い労作(デスクワーク、主婦など):25〜30kcal/kg
・普通の労作(立ち仕事など):30〜35kcal/kg
・重い労作(力仕事など):35〜kcal/kg
このように、ひとり一人に最適なカロリーが算出されます。
1400kcalが妥当な人ってどんな人?
では、具体的にどのような人が「1日1400kcal」に設定されることが多いのでしょうか。計算式から逆算してみると、いくつかのパターンが見えてきます。
<1400kcalが設定されやすい人の例>
・小柄な女性や高齢者
身長が低めで目標体重が軽く、かつ活動量がそれほど多くない人
・肥満傾向があり、減量が必要な人
現在の体重ではなく「目標体重」を基準にするため、肥満がある場合は今の食事量より大幅に少ないカロリーが設定されることがある
・運動量が少ないデスクワーク中心の人
活動係数が低く設定されるため、必要カロリーも低くなる
つまり、1400kcalという数字は「あなたにとって太りすぎず、痩せすぎず、健康を維持するためにちょうど良い量」として導き出されたものです。「少なすぎる」と感じる場合は、これまでの食事が過剰だった可能性が高いと言えるでしょう。
一方で、身長が高い人、体をよく動かす仕事の人、やせ気味の人が長期的に1400kcalで過ごすと、エネルギー不足になる恐れもあるため注意が必要です。「自分は1400kcalでいいのかな?」と迷ったら、身長や普段の活動量をもとに算出した値と指示量を照らし合わせ、主治医に確認しておくと安心でしょう。
自分に適した摂取カロリーはどれくらい?
実際に、前述した計算式をもとに、自分に適した摂取カロリーを計算してみましょう。
例えば、身長155cm・50歳・事務職(デスクワーク)の方の場合…
<①目標体重>
身長(m) × 身長(m) × 22
→1.55 × 1.55 × 22=52.855→約53kg
<②身体活動量>
座り仕事が中心
→25〜30kcal程度が目安
<摂取エネルギーの算出>
①53kg × ②25kcal=1325kcal
①53kg × ②30kcal=1590kcal
この計算結果から、1325〜1590kcalの間で調整することになります。計算はあくまで目安なので、実際には体重の変化や血糖コントロールの状況をみながら、医師や管理栄養士が微調整していきます。
1400キロカロリーを「単位」で考える!糖尿病食事交換表の使い方
糖尿病の食事療法を実践する際、必ずと言っていいほど耳にするのが「単位」という言葉です。この「単位」という考え方を使うと、面倒な計算がぐっと楽になります。ここでは、「糖尿病食事交換表」と「単位」について簡単にみていきましょう。
糖尿病食の「単位」とは?
「単位」とは、糖尿病の食事療法において、食品のエネルギー量を分かりやすく換算するための“エネルギーのものさし”です。基本は「1単位=80kcal」と定義されています。
なぜ80kcalなのでしょうか?それは、私たちが普段よく食べる食品の多くが、80kcalやその倍数で区切りやすい量になっているからです。
・ご飯お茶碗半分(約50g)
・卵1個(Mサイズ)
・バナナ1本(中サイズ)
・食パン半分(6枚切り)
これらはすべて、およそ80kcal、つまり「1単位」です。「今の食事は500kcalだったから…」と計算するよりも、「ご飯で2単位、おかずで3単位食べた」と考えるほうが、直感的で計算ミスも少なくなります。
また、主食の表(ご飯・パン・麺など)で「1単位分」を覚えると、今日はご飯、明日はパン…と気分で入れ替えても、エネルギーは合わせやすくなります。ただし、別の表(肉や魚の表など)と主食を入れ替えると栄養バランスが崩れやすいので注意が必要です。
1400kcalは何単位になる?
1単位が80kcalであることが分かれば、1日の目標である1400kcalが何単位になるのかは、簡単な割り算で求められます。
【計算式】1400kcal ÷ 80kcal=17.5単位
つまり、1日1400kcalの指示が出ている人は、1日合計で「17.5単位」分の食品を食べるのが目標となります。この17.5単位を、朝・昼・夕の3食と、必要であれば間食に振り分けていきます。
ただし、「好きなものだけで17.5単位食べればいい」というわけではありません。お菓子だけで17.5単位摂っても、栄養バランスは崩れ、血糖値は乱れてしまいます。
炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン・ミネラルをバランスよく摂るために、「どの食品グループから何単位とるか」という配分が重要になるでしょう。
食事交換表の使い方と単位の振り分け例
糖尿病食事交換表では、食品が栄養素ごとに6つの「表」と「調味料」に分類されています。1400kcal(17.5単位)の場合、一般的には以下のような振り分けが目安となります。
<1400kcalの単位配分モデル>
(配分の例)
・朝:5.5単位
・昼:6単位
・夕:6単位
(内訳の例)
・表1(炭水化物):9単位(ご飯、パン、麺など)
→エネルギーの源。全体の50〜60%が目安
・表2(果物):1単位(バナナ、みかんなど)
→ビタミンやミネラルの補給源
・表3(タンパク質):4単位(肉、魚、卵、大豆製品)
→筋肉や血液を作る重要なおかず
・表4(乳製品):1.5単位(牛乳、ヨーグルトなど)
→カルシウム源として大切
・表5(脂質):1単位(油、バター、マヨネーズ)
→調理に使う油もカウントする
・表6(野菜):1単位(野菜、海藻、きのこ)
→ビタミン、食物繊維が豊富。量は多くてもカロリーは低め
・調味料:上記の枠内で微調整(みりん、味噌など)
なお、食品交換表は、書店や病院で購入できます。一度目を通してみるとよいでしょう。
1400キロカロリーの食事メニューとご飯の量の目安
「単位の話は分かったけれど、実際にご飯はどれくらい盛ればいいの?」と、これが一番知りたいポイントではないでしょうか。そこでここからは、1400kcal制限における具体的なご飯の量や、1日の献立イメージをご紹介します。
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1400kcalだとご飯は1日どれくらい?
1400kcal(17.5単位)の場合、炭水化物を含む「表1」の目安は1日9単位ほど。これをさらに3食に均等に分けると、1食あたり3単位となります。
また、ご飯における「1単位(80kcal)」は炊いた状態で約50gですので、1食あたり(3単位)のご飯の量は以下のようになります。
【1食のご飯の量:3単位=150g】
見た目の目安は?
・子供用茶碗なら、軽く1杯程度
・大人用の大きめ茶碗なら、小盛り〜半分強
・コンビニのおにぎりなら、約1.5個分
「意外と少ない」と感じるかもしれませんが、これが1400kcal制限における基本の量です。 もし、うどんやパスタにする場合も、この「3単位」を目安に量を調整します。
【例】1日1400kcalの食事モデル
では、実際にどのようなメニューなら1400kcalに収まるのでしょうか。 朝・昼・夕の配分を考えた、具体的な献立例を見てみましょう。(※調味料等の細かいカロリーも含めて調整が必要です)
<朝食:約4単位(320kcal)>
主食:食パン6枚切り1枚(3単位)
おかず:野菜サラダ(ノンオイルドレッシング)、ゆで卵1個(1単位)
飲み物:ブラックコーヒーまたは無糖紅茶
<昼食:約6〜7単位(480〜560kcal)>
主食:ご飯150g(3単位)
主菜:焼き魚(鮭など)または鶏むね肉のソテー(2単位)
副菜:ほうれん草のお浸し、具沢山の味噌汁(1〜2単位)
デザート:みかん1個(表2:1単位)
<夕食:約6〜7単位(480〜560kcal)>
主食:ご飯150g(3単位)
主菜:豚肉の生姜焼き(薄切り肉3枚程度)(2単位)
副菜:きのこの炒め物、冷奴(小パック)(1〜2単位)
その他:牛乳コップ1杯(表4:1.5単位 ※間食に回してもOK)
このように、主食をしっかり決められた量(150g前後)に抑えつつ、野菜や海藻でボリュームを出すのが満腹感を得るコツです。
参考記事:【管理栄養士監修】糖尿病の食事メニュー完全ガイド|1日・1週間の献立例と時短レシピ集
ご飯の代わりになる主食の例
毎日白米ばかりでは飽きてしまいますし、時にはパンや麺類も食べたくなりますよね。 1食あたり「3単位(240kcal)」を目安に、他の主食に置き換える場合の量を知っておきましょう。
<3単位(240kcal)分の主食リスト>
・食パン(6枚切り):1枚と半分(約90g)
※朝食例では1枚にしましたが、3単位摂るなら1.5枚までOKです
・うどん(ゆで):1玉弱(約240g)
・そば(ゆで):1玉強(約180g)
・パスタ(乾麺):60g(ゆでると約150g)
※1人前(100g)だと約5単位になるため、半分強に減らす必要があります
・オートミール:60g
糖尿病でも食べていいもの・控えるべきもの
「これを食べれば糖尿病が治る」という魔法の食品はありませんが、血糖値のコントロールを助けてくれる食品は存在します。逆に、無意識に食べていると血糖値を急上昇させてしまう食品もあります。ここでは、積極的に摂りたい食品と、注意が必要な食品をランキング形式でご紹介します。
糖尿病予防に良い食べ物ランキング

結論として、優先したいのは「食物繊維が多い」「たんぱく質を適量とれる」「脂の質が良い」食材です。食物繊維は食後血糖の上がり方を緩やかにしやすく、満腹感にもつながります。
<糖尿病予防におすすめの食材ベスト5>
1位:緑黄色野菜(ブロッコリー、小松菜など)
→食物繊維やビタミンが豊富。血糖値の急上昇を抑え、「野菜から食べる」習慣に最適
2位:玄米・もち麦・雑穀米
→白米よりGI値が低く、食物繊維やビタミンB群も多く含まれる。主食の置き換えにおすすめ。
3位:大豆製品(納豆・豆腐など)
→良質なたんぱく質と食物繊維を含み、糖の吸収を緩やかにする。朝食や副菜にも使いやすい。
4位:青魚(さば・いわし・さんま)
→EPAやDHAが豊富で、血糖・脂質の改善や内臓脂肪の抑制に効果的。
5位:海藻類(わかめ・ひじき・昆布など)
→カロリーが低くミネラルが豊富。腸内環境も整えながら血糖値対策に◎
参考記事:「糖尿病予防の食事」完全ガイド|おすすめ食材・レシピ・NG例まで徹底解説
糖尿病の食事でダメなものランキング

「血糖値を急に上げやすい」「気づかないうちに摂取量が増える」ものは控えめが安全です。「絶対禁止」ではありませんが、量や頻度には注意しましょう。
<糖尿病の食事でダメなものベスト5>
1位:お菓子・デザート類
→砂糖や脂肪、塩分が多く含まれ、血糖値を急激に上昇させる原因となる。
2位:白米やパンなどの高糖質主食
→糖質が多く含まれており、血糖値を急激に上昇させる原因となる。
3位:揚げ物類
→油が多く、カロリーが高くなりがち。脂肪分が多い食事はインスリンの働きを妨げやすい。
4位:甘い飲み物(ジュース・炭酸飲料)
→大量の糖分が含まれており、血糖値を急激に上昇させてしまう。
5位:アルコール
→アルコールは血糖値を急激に変動させる原因となる。
参考記事:糖尿病の食事でダメなものランキング|血糖値に悪影響を与える食品とは
よくある疑問(Q&A)
それでは最後に、よくある質問をまとめます。
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1400キロカロリーは「何単位」?
A.合計で「17.5単位」です。1単位=80kcalなので、1400 ÷ 80=17.5となります。端数の0.5単位(40kcal)の扱いが難しく感じるかもしれませんが、例えば「牛乳をコップ半分にする」「果物を半分にする」といった微調整に使ったり、1週間単位で帳尻を合わせたりするくらいの気持ちで大丈夫です。
1400キロカロリーで、ご飯は1食どれくらい?
A.1食あたり約150g(お茶碗に軽く1杯)が目安です。これは表1(炭水化物)を1日9単位とし、それを3食で割った場合(1食3単位)の計算です。もし、朝はパン派という方なら、昼と夜のご飯を少し多めにするなど、1日の中で調整することも可能です。ただし、一度に大量に糖質を摂ると血糖値が上がりやすくなるため、基本は3食均等が理想的でしょう。
1400キロカロリーでも間食していい?
A.基本的には「食事の一部」としてならOKです。1400kcalという制限は、余裕のあるカロリー設定ではありません。そのため、3食の食事とは別にプラスアルファでおやつを食べると、すぐにカロリーオーバーしてしまいます。
間食をしたい場合は、「分食(ぶんしょく)」という考え方を取り入れましょう。例えば、昼食で食べるはずだった「果物(1単位)」や「ヨーグルト(1単位)」を残しておき、15時のおやつとして食べるのです。これなら1日の総カロリー(17.5単位)は変わらないため、血糖値の急上昇を抑えつつ、おやつの楽しみも維持できるでしょう。
まとめ
糖尿病の食事で1日1400キロカロリーと言われたら、まず「単位」に直して全体像をつかみ、ご飯(主食)の量を“測れる形”に整えるのが近道です。1400kcal=17.5単位を基準に、3食へ配分し、野菜・きのこ・海藻などを増やして満足感を作ると続けやすくなります。
今日からできる事としては、①主食の量を固定する、②加糖飲料をやめる、③夜遅い食事とまとめ食いを避ける、の3つが始めやすいでしょう。完璧を目指すより、ブレを小さくするほうが結果につながります。困ったときは自己判断で削りすぎず、医療者に相談しながら調整してください。