【管理栄養士監修】糖尿病の食事メニュー完全ガイド|1日・1週間の献立例と時短レシピ集
25/09/10 22:51
糖尿病と診断されると、「これから何を食べればいいのだろう」と不安を抱く方は多くいらっしゃいます。特に食事は毎日の習慣であり、血糖値のコントロールに直結するため、自己流での判断に迷う場面も少なくありません。
そこで本記事では、糖尿病患者や予備軍の方に向けて、食事メニューを考えるうえでの基本ルールや、参考となる1日・1週間の献立例をご紹介します。高血圧や脂質異常症を併発している方向けの工夫や、忙しい方にも取り入れやすい時短アイデアもあわせて解説しますので、ぜひご活用ください。
糖尿病患者向け食事メニューの基本ルール

糖尿病の食事では「何を食べるか」だけでなく「どう食べるか」まで含めた習慣づくりが大切です。ここでは基本となる7つのルールを整理し、日々の献立作りの指針としてご紹介します。
<糖尿病食の7つの基本ルール>
①適正なカロリー量を守る
②栄養バランスのとれた食事を心がける
③規則正しく1日3食を摂る
④食物繊維をしっかり摂る(野菜・海藻・きのこ類)
⑤ゆっくりよく噛んで食べる(満腹中枢の刺激)
⑥食品交換表を活用する
⑦外食や間食の工夫をする
詳しくは以下の記事でご紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。
参考記事:糖尿病を改善する食事療法|7つのルールと今日から使えるレシピ集
糖尿病の食事メニュー【1日の献立例】
朝・昼・夕・間食それぞれの食事で押さえるべきポイントについて解説します。
朝食のポイントとおすすめレシピ例
糖尿病患者の朝食は「血糖値をゆるやかに上げる」ことが一番のポイントです。具体的には、食物繊維・たんぱく質・ビタミン・ミネラルがしっかり摂れる献立を意識しましょう。
例えば、玄米や雑穀入りごはんを主食に、焼き魚や卵焼きなどタンパク質が豊富な主菜、ほうれん草のおひたしや納豆など副菜、具だくさんの味噌汁を合わせます。ヨーグルトや果物を少量添えることで満足感も得やすくなります。
間違えて糖質の多い菓子パンやジュースを選んでしまうと、血糖値が急上昇する恐れがあるため気を付けてくださいね。
<朝食のおすすめレシピ>
しらすで血栓予防 キャベツとしらすのおひたし
▼詳しい作り方はこちら
しらすで血栓予防 キャベツとしらすのおひたし
食感が楽しい 野菜のピーナッツ和え
▼詳しい作り方はこちら
食感が楽しい 野菜のピーナッツ和え
昼食のポイントとおすすめレシピ例
昼食は外食やお弁当で済ませたいと思う方もいらっしゃるでしょう。本当は量も気にせず食べたい気持ちも自然なことです。ただ、血糖値を安定させるには「主食は控えめ」「野菜を多め」「揚げ物を減らす」ことがポイントになります。
例えば、ご飯を茶碗半分にして鶏むね肉のソテーや蒸し魚を主菜に、サラダや小鉢を添えればバランスが整います。外食では丼ものより定食を選び、サラダを追加するなど、小さな工夫で無理なく満足感と体調管理を両立していきましょう。
<昼食のおすすめレシピ>
お手軽ブロッコリーのツナマヨネーズ
▼詳しい作り方はこちら
お手軽ブロッコリーのツナマヨネーズ
野菜たっぷり たらの和風野菜あん
▼詳しい作り方はこちら
野菜たっぷり たらの和風野菜あん
夕食のポイントとおすすめレシピ例
夕食は一日の締めくくりなので、本当は好きなものをしっかり食べたいと思う方も多いでしょう。ただ、夜は活動量が減るため、糖質や脂質をとりすぎると血糖値が下がりにくく、翌朝の数値にも影響してしまいます。ポイントは「油を控える」「炭水化物は少なめ」「就寝の2~3時間前までに食べ終える」ことです。
蒸し鶏や焼き魚を主菜に、野菜のお浸しや煮物を副菜として組み合わせると、軽めでも満足感が得られますよ。ご飯は少なめにして、その分副菜を増やしてみるとよいでしょう。
<夕食のおすすめレシピ>
クセになる ブロッコリーとエビのチリソース
▼詳しい作り方はこちら
クセになる ブロッコリーとエビのチリソース
コクうま鶏肉と野菜のクリーム煮込み
▼詳しい作り方はこちら
コクうま鶏肉と野菜のクリーム煮込み
間食・おやつの工夫と注意点
おやつは本当は甘いものを自由に食べたいと思う方も多いですよね。糖尿病だからといって間食を全て我慢する必要はありませんが、内容と量を少し工夫することが大切です。
例えば、血糖値を急に上げやすい菓子パンやスナック菓子、甘い飲み物は控えめにしましょう。代わりに、無塩ナッツや無糖ヨーグルト、チーズ、野菜スティックなどを取り入れると安心です。1日1回・100kcal前後を目安にすれば、空腹感を和らげつつ血糖値の安定にもつながりますよ。
糖尿病患者向け食事メニュー【1週間の献立例】

日々の献立を考えるのは大変ですが、1週間の流れで準備をすれば負担が軽くなります。以下、毎日の食事バランスを意識した具体的な献立例を提案いたしますので、ぜひ参考にしてください。
<1週間の献立例>
・月曜日
(朝)玄米ごはん+納豆+ほうれん草おひたし
(昼)鶏むね肉のソテー+野菜スープ
(夜)鮭のホイル焼き+ひじき煮
・火曜日
(朝)全粒粉トースト+卵+サラダ
(昼)そば+冷奴+海藻サラダ
(夜)豚しゃぶサラダ+雑穀ごはん
・水曜日
(朝)おにぎり+具だくさん味噌汁
(昼)鯖の塩焼き+根菜の煮物
(夜)豆腐ステーキ+きのこソテー
・木曜日
(朝)オートミール+無糖ヨーグルト
(昼)鶏そぼろ丼+小鉢野菜
(夜)白身魚の煮つけ+大根サラダ
・金曜日
(朝)雑穀パン+サラダチキン+野菜スープ
(昼)親子丼+味噌汁
(夜)回鍋肉風炒め+春雨スープ
・土曜日
(朝)和風サンド+豆乳
(昼)冷やし中華+野菜トッピング
(夜)ブリの照り焼き+青菜炒め
・日曜日
(朝)雑炊+野菜副菜
(昼)鶏の照り焼き+ほうれん草胡麻和え
(夜)鍋料理(野菜・豆腐・きのこ中心)
このように曜日ごとに献立を決めておくことで、買い物や調理の手間が軽減できるだけでなく、栄養バランスも崩れにくくなりますよ。なお、献立例は以下の記事でもご紹介しておりますので、こちらも参考にご覧ください。
参考記事:【管理栄養士監修】糖尿病患者向け1週間の献立|簡単&時短で続けられるレシピも満載
高血圧や脂質異常症にも対応できる糖尿病食メニュー

糖尿病に高血圧や脂質異常症が重なると、血管への負担は大きくなります。そこで重要なのが「減塩」「脂質コントロール」「食材選び」の三本柱です。塩分を抑えつつ満足感を保つ工夫、油の使い方と調理法の見直し、血管を守る食材の取り入れ方を順に整理し、日々の献立へ無理なく落とし込みましょう。
減塩を意識した献立の工夫
減塩は高血圧や生活習慣病の予防にとても有効です。しかし、塩分を控えても「おいしさ」が損なわれてしまったら継続するのは難しくなってしまうでしょう。
だからこそ大切なのは、「おいしさ」を損なわない設計に変えることです。だからこそ、出汁の旨味、酢や柑橘の酸味、胡椒・山椒・カレー粉・生姜・にんにくなど香りの力を組み合わせて満足度を高めることがポイントとなるでしょう。
<減塩の実践ポイント>
・味噌汁は減塩味噌+具だくさんで薄味に
・醤油は「かける」より「つける」
・麺類はスープを飲み干さない
・漬物・ハム・ソーセージなど加工品は頻度を下げる
・焼き魚は塩の代わりにレモン・大葉・すだちで風味を付ける
脂質を抑えた調理法
脂質を抑えるには揚げ物よりも「蒸す」「ゆでる」「焼く」といった油を使わない方法が有効です。調理法によって食材の油吸収量は大きく変わり、脂質のとり過ぎは脂質異常を悪化させやすいからです。以下のポイントを参考に、ぜひお試しください。
<脂質を抑える調理のポイント>
・鶏肉は皮を外して蒸し鶏に
・豚・牛は脂身を避け赤身中心に
・炒め物は油小さじ1を計量して薄く全体に回す
・ノンオイルスプレーやクッキングシートを活用する
・フライは衣を薄くしてオーブン加熱に置き換える
・煮物やスープは一度冷やして浮いた脂を取り除く
・ドレッシングはポン酢+少量のオリーブオイルに
生活習慣病全般に役立つ食材選び
食材選びのポイントは、血糖・血圧・脂質の三方良しになる食材を「定番化」することです。「低糖質・高食物繊維・ビタミン・ミネラル・高たんぱく」を意識した食材を定番化することで、毎日の食事づくりが少しだけ楽になると思います。
<食材選びのポイント>
・主食は玄米・雑穀・そば・オートミールをローテーション
・主菜は魚(特に青魚)と大豆製品、鶏むね・豚ヒレなど脂の少ない部位を軸に
・副菜は葉物・根菜・きのこ・海藻を取り入れる
・果物は「食後に少量に」が目安
簡単&時短!糖尿病患者向け調理アイデア
忙しい毎日でも健康的な食卓は諦めなくて大丈夫。糖尿病患者向けの調理アイデアとして「作り置き」「レンジ調理」「コンビニ活用」など、手間を減らしつつ栄養をしっかり摂れる工夫をご紹介します。
作り置きで1週間の食事準備をラクに
献立作りの悩みを減らしたい方には「作り置きメニュー」がおすすめです。忙しい朝や夜にも健康的なメニューが簡単に用意できるだけでなく、保存容器に分けておけば毎日の食事時間もぐっと短縮できますよ。食材ごとに味付けを変える、使い回しがきくレシピを活用するなど、工夫次第でバリエーションも広がるでしょう。
<作り置きのおすすめメニュー>
トマトジュースで栄養満点 野菜のトマト煮
▼詳しい作り方はこちら
トマトジュースで栄養満点 野菜のトマト煮
フライパンやレンジで作れるレシピ
毎回の食事を一から準備するのは大変ですよね。そんなときは、フライパン1つで作れる簡単レシピが役立ちます。ほかにも、蒸し器の代わりに「耐熱容器+電子レンジ」を活用するのもおすすめです。
<フライパン1つで作れる!おすすめメニュー>
車麩でボリュームアップ 麩と豚肉のチャンプルー
▼詳しい作り方はこちら
車麩でボリュームアップ 麩と豚肉のチャンプルー
コンビニ・外食時の賢いメニュー選び
外出先での食事は糖尿病患者にとって不安要素になりがちですが、結論から言うと「選び方」を工夫すれば十分に対応可能です。近年のコンビニや飲食店には健康志向の商品が増えており、組み合わせ次第で栄養バランスは十分に整えられますよ。
具体的には、低糖質・高たんぱくなサラダチキンやゆで卵、野菜サラダ、ひじき煮などを中心に選びましょう。おにぎりやパンはできるだけ雑穀米や全粒粉、具材はシンプルなものが良いですね。栄養表示や食物繊維量も参考にしながら、無理なく続けてください。
なお、以下の記事では「自分で作らない」ことを前提に、冷凍弁当、宅配食、コンビニの選び方を解説しています。ぜひ参考にご覧ください。
参考記事:糖尿病食レシピの決定版!朝昼晩の献立例と作り置き術【管理栄養士監修】
糖尿病食のメニューを作る時の注意点

最後に、糖尿病の食事作りにおける注意点をお伝えしておきたいと思います。
腎臓病・心疾患など持病別の栄養制限に注意
糖尿病患者の中には腎臓病や心疾患を併発している方も多く、その場合は糖尿病の基本食事療法に加えてさらに工夫が必要です。
具体的には、腎臓病を持つ方は「たんぱく質や塩分の摂取制限」、心疾患を持つ方は「脂質や塩分の制限」を意識することが欠かせません。腎臓が弱っているとたんぱく質を過剰に摂ることで負担が増し、心疾患があると飽和脂肪酸や塩分が心臓や血管に悪影響を与えるからです。
対策としては、腎臓病合併の場合は肉よりも大豆製品や魚を少量取り入れ、心疾患合併の場合は揚げ物を減らしてオリーブオイルや青魚に切り替えると良いでしょう。糖尿病食は「全員に同じ」ではなく、持病に合わせて調整することが安全で効果的だといえます。
カロリーと糖質の摂り過ぎに注意
糖尿病の食事では、血糖値コントロールのためにカロリーと糖質を摂りすぎない工夫が大切です。過剰なカロリーは体重増加につながり、インスリンの効きが悪くなる一因となるからです。
対策としては、白米は茶碗軽く1杯に抑え、雑穀米や玄米に置き換える、揚げ物ではなく蒸し物や煮物にする、菓子パンや甘い飲料を避けるといった工夫をするとよいでしょう。
また「糖質ゼロ」と書かれた食品でも脂質や添加物が多いことがあるため注意が必要です。成分表示を確認する習慣をつけるとよいでしょう。まとめると、摂取量・食品選び・調理法を見直すことが、血糖値を安定させるためのポイントになります。
飲料・間食での糖質摂取に注意
糖尿病患者にとって見落としがちなのが「飲料」と「間食」に含まれる糖質です。特に清涼飲料や加糖コーヒー、甘いお菓子は血糖値を急激に上げるため、選び方には細心の注意をはらいましょう。
対策としては、間食には無塩ナッツ・無糖ヨーグルト・ゆで卵・チーズ・野菜スティックなどがおすすめで、飲料は水・お茶・無糖炭酸水を選ぶと安心です。また、間食は1日1回・100kcal程度を目安にするとよいでしょう。
まとめ
本記事では、糖尿病患者に向けた食事ルールや献立例などを細かくご紹介しましたが、忘れないでいただきたいのは、糖尿病の食事管理において大切なのは、我慢をすることではなく「ストレスを溜めずに継続すること」だということです。
本記事でご紹介した内容をうまくご活用いただき、ぜひ無理のない範囲で食事管理を続けてみてください。皆さまの健やかな毎日を心より願っております。