【管理栄養士監修】糖尿病患者向け1週間の献立|簡単&時短で続けられるレシピも満載
25/09/10 22:15
糖尿病の食事管理は、「食べてはいけないものを避ける」だけではなく、日々の食事をどう組み立てるかがとても大切です。しかし、いざ実践しようとすると「結局どんなメニューが良いのか」「1週間分をどう計画したらいいのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、糖尿病患者や血糖値が気になる方に向けて、1週間分の具体的な食事メニュー例を紹介します。毎日の食事づくりにぜひお役立てください。
糖尿病に適した食事の基本ルール

糖尿病の食事は血糖値を安定させることが最も大切です。ここからは栄養バランス、食材の組み合わせ、調理法の工夫や避けたい食品を順に解説します。
血糖値コントロールのための栄養バランス
糖尿病の予防や改善を考える際には、「栄養バランス」を整えることが欠かせません。
特に大事なのは、炭水化物の摂り方です。白米やパンなどの精製された炭水化物は血糖値を急上昇させやすいため、雑穀米や麦ごはんなど、食物繊維を多く含む主食に置き換えると効果的でしょう。
また、たんぱく質(魚、鶏肉、大豆製品など)は、筋肉量を維持しながら体の代謝を整えるために必要不可欠です。そこに野菜をプラスすると、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。基本は「主食・主菜・副菜」を揃えること。このバランスが取れると、自然と糖尿病に適した献立になります。
主食・主菜・副菜の理想的な組み合わせ方
糖尿病の食事では「主食・主菜・副菜」を揃えた献立を基本にすると、自然とバランスの良い栄養摂取ができます。
例えば「麦ごはん(主食)+ 魚や鶏肉(主菜)+ 野菜料理2品(副菜)」という組み合わせが理想です。また、サラダや煮物、和え物を副菜にすることで、野菜から食物繊維を摂ることができ、血糖値上昇を穏やかにしてくれますよ。
なお、以下の記事では、糖尿病における食事療法として、7つのルールをご紹介しています。こちらもぜひ参考にご覧ください、
参考記事:糖尿病を改善する食事療法|7つのルールと今日から使えるレシピ集
調理法で変わる血糖値の上がり方
同じ食材でも、調理法によって血糖値への影響は大きく変わります。
例えばじゃがいもは、ポテトサラダのようにマッシュして食べると消化が早まり、血糖値が急上昇しやすくなります。一方、冷やしてから食べると「レジスタントスターチ」という成分が増え、血糖値の上昇を抑える働きが期待できます。
また、油を使った揚げ物はカロリー過多になりやすく、体重増加を招くリスクがあるため控えるのが無難です。代わりに蒸す・煮る・焼くといった調理法を選べば、余分な油を減らしながら素材の旨味を活かせるでしょう。
加えて、食材を大きめに切ると咀嚼回数が増え、満腹感が得やすく血糖値の急上昇も防げます。このように、糖尿病患者にとっては食材選びだけでなく、調理の工夫そのものが血糖値コントロールのカギとなるのです。
避けるべき食品とその代替案
糖尿病の食事管理では、血糖値を急激に上げる食品を避けることが大切です。代表的なのは、砂糖を多く含む菓子類や清涼飲料水、精製度の高い白米や食パンです。これらは血糖値スパイクの原因となり、血管に大きな負担をかけてしまうのです。
しかし、完全に我慢する必要はなく、「代替できる食品を選ぶ」という工夫も大切です。例えば、甘いお菓子を糖質オフのゼリーや果物(少量)にしてみたり、ジュースではなく無糖の炭酸水やお茶にしてみるだけでも、負担を減らすことができます。こうした工夫をするだけでも、血糖値コントロールを続けやすくなるでしょう。
なお、「避けるべき食品ランキング」については、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にご覧ください。
参考記事:糖尿病の食事でダメなものランキング|血糖値に悪影響を与える食品とは
糖尿病患者向け食事メニュー|1週間の献立例

糖尿病の食事は「続けられること」が一番のポイントです。そのため、毎日の献立に無理のない工夫を取り入れることが大切です。ここでは、1週間分の夕食メニュー例をご紹介しますが、基本は「麦ごはん+お味噌汁+主菜+副菜」をベースにしています。朝食や昼食については、以下の記事を参考にご覧ください。
参考記事:糖尿病食レシピの決定版!朝昼晩の献立例と作り置き術【管理栄養士監修】
月曜日の献立
月曜日は週のスタートなので、調理が簡単で栄養バランスが整う献立がおすすめです。主菜は「食材二つで簡単!豚肉とキャベツの塩おかか炒め」。豚肉のビタミンB1は疲労回復をサポートし、キャベツの食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにします。そして、副菜には「和食の定番 ひじきと大豆の煮物」を合わせ、ミネラルとタンパク質を補強。忙しい平日でも無理なく継続できるのが魅力的なレシピです。
食材二つで簡単! 豚肉とキャベツの塩おかか炒め
▼詳しい作り方はこちら
食材二つで簡単! 豚肉とキャベツの塩おかか炒め
和食の定番 ひじきと大豆の煮物
▼詳しい作り方はこちら
和食の定番 ひじきと大豆の煮物
火曜日の献立
火曜日は野菜をしっかり摂って血糖値を安定させるメニューが適しています。主菜は「野菜たっぷり たらの和風野菜あん」。たらは低脂質高タンパクで消化も良く、野菜と一緒に摂ることで食物繊維とビタミンをバランスよく補給できます。また、副菜に「食感が楽しい 野菜のピーナッツ和え」をあわせることで、ピーナッツの良質な脂質が満足感を与え、食べ過ぎを防いでくれるでしょう。全体的に軽やかでありながら栄養価の高い献立です。
野菜たっぷり たらの和風野菜あん
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野菜たっぷり たらの和風野菜あん
食感が楽しい 野菜のピーナッツ和え
▼詳しい作り方はこちら
食感が楽しい 野菜のピーナッツ和え
水曜日の献立
週の中盤はエネルギーをしっかり補いながら、塩分を控えたいタイミングです。主菜は「手作りたれで減塩 豚の生姜焼き」。通常の生姜焼きは市販のたれを使うと塩分が多くなりがちですが、自家製タレなら減塩しながら味わい深い仕上がりにできます。そして副菜には「さっぱりハムと春雨のサラダ」。春雨は低カロリーで腹持ちが良く、ハムの塩分を野菜でバランスよく調整できますよ。
手作りたれで減塩 豚の生姜焼き
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手作りたれで減塩 豚の生姜焼き
さっぱりハムと春雨のサラダ
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さっぱりハムと春雨のサラダ
木曜日の献立
木曜日は疲れがたまりやすい週後半に向けて、しっかりとしたタンパク質を補給するのがおすすめです。主菜は「低カロリー高たんぱく鶏肉のすき焼き煮」。鶏むね肉は脂肪が少なく、消化も良いので糖尿病患者に適した食材です。甘辛い味付けでも砂糖を控えめにし、調味料はみりんや出汁で旨味を引き出すと血糖値への負担を減らせます。そして、副菜には「しらすで血栓予防 キャベツとしらすのおひたし」。しらすにはカルシウムと良質なたんぱく質が豊富で、血流を良好に保つ効果も期待できますよ。
低カロリー高たんぱく鶏肉のすき焼き煮
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低カロリー高たんぱく鶏肉のすき焼き煮
しらすで血栓予防 キャベツとしらすのおひたし
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しらすで血栓予防 キャベツとしらすのおひたし
金曜日の献立
週末を前にした金曜日は、体を癒やしながら満足感も得られる献立がよいでしょう。主菜は「コクうま鶏肉と野菜のクリーム煮込み」。牛乳や生クリームを使う料理はカロリーが気になりますが、低脂肪乳を使い、野菜をたっぷり加えることで糖質や脂質を抑えながらコクのある味に仕上げられます。副菜には「新潟県の郷土料理 切干と人参のハリハリ漬け」。切干大根の食物繊維が血糖値上昇を抑え、噛みごたえもあるため満腹感が得られやすいレシピです。
コクうま鶏肉と野菜のクリーム煮込み
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コクうま鶏肉と野菜のクリーム煮込み
新潟県の郷土料理 切干と人参のハリハリ漬け
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新潟県の郷土料理 切干と人参のハリハリ漬け
土曜日の献立
休日の土曜日は、ボリューム感を楽しみつつ栄養バランスを崩さない工夫が必要です。主菜は「車麩でボリュームアップ 麩と豚肉のチャンプルー」。麩は低カロリーでありながらタンパク質を含み、肉との相性も良いため食べ応えのある一品になります。副菜は「お手軽ブロッコリーのツナマヨネーズ」。ツナ缶を利用すれば簡単に作れ、ブロッコリーのビタミンCと食物繊維を効率よく摂取できますよ。
車麩でボリュームアップ 麩と豚肉のチャンプルー
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車麩でボリュームアップ 麩と豚肉のチャンプルー
お手軽ブロッコリーのツナマヨネーズ
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お手軽ブロッコリーのツナマヨネーズ
日曜日の献立
週の終わりである日曜日は、少し華やかで食欲が進むメニューを選びましょう。主菜は「クセになる ブロッコリーとエビのチリソース」。エビは高たんぱく低脂肪の食材で、ピリ辛のチリソースと合わせると満足感が高まります。副菜は「食材二つで簡単 大豆と人参の煮物」。大豆のたんぱく質と食物繊維、人参のβカロテンを一度に摂取できる優れた副菜です。家族みんなで楽しめる味わいでありながら、血糖値を安定させる要素がしっかり盛り込まれた献立です。
クセになる ブロッコリーとエビのチリソース
▼詳しい作り方はこちら
クセになる ブロッコリーとエビのチリソース
食材二つで簡単 大豆と人参の煮物
▼詳しい作り方はこちら
食材二つで簡単 大豆と人参の煮物
献立作成のポイントと継続のコツ

糖尿病の食事管理は続けやすさが重要です。ここでは作り置きや外食の工夫、買い物リストなど継続に役立つポイントを紹介します。
作り置き・時短調理で無理なく続ける方法
糖尿病の食事管理は、毎日ゼロから献立を考えると大きな負担になります。そこで役立つのが「作り置き」と「時短調理」です。
たとえば、週末に野菜の下ごしらえをして冷蔵保存しておけば、平日は炒める・煮るだけで副菜が完成します。また、電子レンジを活用した蒸し野菜や、圧力鍋での煮物も短時間で仕上がるため便利です。
こうした工夫を取り入れることで「忙しいから今日は簡単に済ませよう」といった妥協が減り、血糖値管理を無理なく継続しやすくなるでしょう。なお、詳しくは以下の記事でレシピをご紹介していますので、あわせてご覧ください。
参考記事:糖尿病食レシピの決定版!朝昼晩の献立例と作り置き術【管理栄養士監修】
外食やコンビニ利用時の選び方
糖尿病だからといって外食やコンビニを避ける必要はありません。むしろ選び方を工夫すれば、血糖値を安定させながら外食も楽しめます。ポイントは「主食を少なめに」「野菜をプラス」「揚げ物を避ける」の3つです。
例えば、コンビニであれば雑穀入りおにぎりとサラダチキン、具沢山スープを組み合わせるとバランスが整います。外食では定食を注文し、ごはんを少なめにする代わりに副菜やサラダを追加するのがおすすめです。
麺類を選ぶ場合は、うどんよりも蕎麦のほうが血糖値が上がりにくいとされています。選び方を少し工夫するだけで、忙しい日でも安心して食事を楽しめ、食事制限のストレスも軽減できるでしょう。
食材選びの工夫と買い物リスト
毎日の献立を無理なく続けるには、買い物の段階で工夫することが重要です。冷蔵庫に健康的な食材が揃っていれば、自然と血糖値にやさしいメニューを作ることができます。買い物リストには、以下のような食材を入れておくと安心でしょう。
<糖尿病向け買い物リストの例>
・主食:玄米、雑穀米、全粒粉パン、オートミール
・主菜:鶏むね肉、鮭・鯖などの魚、大豆製品(豆腐・納豆)
・副菜:ほうれん草、ブロッコリー、キャベツ、トマト、海藻、きのこ類
・その他:無糖ヨーグルト、ナッツ、低脂肪乳、オリーブオイル
まとめ
糖尿病の食事管理は、難しい特別メニューを作るのではなく、「無理なく続けること」を第一に毎日の工夫を積み重ねることが大切です。
本記事では、血糖値を安定させる食事の基本ルールや避けるべき食品、そして1週間分の具体的な献立例をはじめ、作り置きや外食時の選び方、買い物リストの工夫など、継続しやすいポイントまで詳しく解説いたしました。
皆さんの日々の食事づくりにご活用いただければ幸いです。まずは今日の一食から、できることを一つずつ取り入れていきましょう。