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糖尿病の食事制限はどこまで必要?無理せず続ける工夫とおすすめメニューを紹介

25/11/01 01:21

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糖尿病と診断されたとき、まず気になるのが「食事制限はどこまで必要なの?」という疑問ではないでしょうか。我慢ばかりの生活になるのでは、と不安を感じる方も多いかもしれません。

しかし、糖尿病の食事制限は「食べてはいけない」ではなく、「食べ方を工夫する」ことがポイントです。適切なバランスを意識すれば、好きなものを楽しみながら血糖値を安定させることも可能です。

そこで本記事では、糖尿病における食事制限の目的と必要性から、無理せず続けるための工夫、そして実際におすすめのメニュー例までをわかりやすく紹介します。ぜひ参考にご覧ください。

 

糖尿病の食事制限とは?目的と必要性

糖尿病の食事制限とは、血糖値の上昇を防ぎ、合併症を予防するために食事内容や量をコントロールすることを指します。

では、なぜ制限が必要なのか、何を目的として行うのか、そしてどのように専門家のサポートを受けるべきなのか。まずは、糖尿病の食事制限を行う理由と、その重要性を具体的に見ていきましょう。

 

なぜ糖尿病に食事制限が必要なのか

糖尿病では、体内のインスリンがうまく働かず、摂取した糖分(ブドウ糖)が血液中に残ってしまいます。食事制限が必要な理由は、この「血糖値の上昇スピード」をコントロールするためです。

たとえば、白米やパン、甘いお菓子などの高糖質食品を多く食べると、血糖値が急上昇し、インスリンの分泌が追いつかなくなります。この状態が続くと、血管へのダメージが蓄積し、心筋梗塞や脳卒中、網膜症といった合併症を招くリスクが高まってしまうのです。

とはいえ、野菜やタンパク質を先に食べる「食べる順番の工夫」だけでも血糖値の上昇は十分に抑えられます。つまり、食事制限とは「食べないこと」ではなく、「食べ方を整えること」でもあるのです。

 

食事制限の目的

糖尿病の食事制限には、主に以下のような目的があります。

<食事制限の3つの目的>
・血糖値のコントロール(インスリンが適切に働く環境を整える)
・体重管理(適正体重を維持し、インスリン抵抗性を悪化させない)
・合併症の予防(血管・神経への負担を減らす)

このように、食事制限は「糖尿病の進行を止めるための土台」です。過度な制限ではなく、栄養バランスを意識した継続的な取り組みこそが、健康維持への近道といえるでしょう。

 

医師・栄養士の指導のもとで行う重要性

糖尿病の食事制限は、自己判断で行うと栄養不足や低血糖を招く危険があります。特に、極端な糖質制限ダイエットを続けると、筋肉量が減り、代謝が低下してしまうこともあります。

そのため、食事療法を始める際は、医師や管理栄養士の指導を受けながら、自分の体調・血糖値・生活習慣に合わせたプランを立てることが大切です。まずは、かかりつけ医や管理栄養士に相談することから始めてみましょう。

また、当サイトでは管理栄養士監修のレシピを多数掲載しています。バランスの取れた献立を参考にしながら、毎日の食事づくりにぜひお役立てください。

参考記事:糖尿病を改善する食事療法|7つのルールと今日から使えるレシピ集

管理栄養士監修:糖尿病のレシピ一覧はこちら▼

 

糖尿病の食事制限で避けたい食品・控えたい食品

糖尿病の改善や予防には、「何を食べるか」よりも「何を避けるか」を意識することが重要です。

ここからは、糖尿病の食事制限で控えるべき代表的な食品と、その理由をわかりやすく解説します。

 

血糖値を急上昇させる高糖質食品

糖尿病患者にとって、最も注意すべきは「糖質量の多い食品」です。

白米・食パン・うどん・菓子パンなどの精製された炭水化物は、消化吸収が早く、短時間で血糖値を上昇させてしまいます。これを繰り返すと、インスリンが過剰に分泌され、やがて効きが悪くなり、慢性的な高血糖へとつながってしまうのです。

また、砂糖を多く含むお菓子やジュース、甘いシリアルなども血糖値スパイクを引き起こす代表格です。どうしても主食を食べたい場合は、「玄米」や「全粒粉パン」など、食物繊維を含む低GI食品を選ぶと良いでしょう。

 

揚げ物や飽和脂肪酸が多い料理

揚げ物やバター・ラードを多く使った料理は、血糖値だけでなく脂質代謝にも悪影響をおよぼします。飽和脂肪酸を摂りすぎると、インスリンの働きが低下し、血糖コントロールが難しくなるため注意が必要です。

例えば、唐揚げ・天ぷら・とんかつなどの油料理や、クリーム系のソース・スナック菓子は控えましょう。どうしても食べたい場合は、揚げるより「焼く・蒸す」といった調理法に変えたり、油をオリーブオイルなどの「不飽和脂肪酸」に置き換えるなど、調理法を工夫することで負担を軽減できますよ。

 

甘い飲料・アルコール

糖尿病の食事制限では、「飲み物の糖分」にも注意が必要です。炭酸飲料・果汁入りジュース・加糖コーヒーなどは、わずか1本で糖質が40gを超えることもあります。水やお茶と違い、液体の糖分は吸収が速いため、血糖値を一気に上げてしまうのです。

また、アルコールにも落とし穴があります。ビールや日本酒、カクテルなどは糖質が高く、過剰に摂ると血糖値の変動が激しくなります。さらに、アルコールは肝臓での糖の生成を妨げ、低血糖を招く場合もあるため注意しましょう。

飲みたくなった時は「糖質ゼロ」や「焼酎・ウイスキー」など、比較的糖質の少ない種類のものを選ぶのがおすすめです。

参考記事:【管理栄養士監修】糖尿病の食事メニュー完全ガイド|1日・1週間の献立例と時短レシピ集

 

食事制限中でも食べられる安心な食品・メニュー例

糖尿病の食事制限と聞くと、「食べたいものが制限されてつらい」と感じる人も多いでしょう。しかし、実際には食べ方を工夫すれば、満足感を保ちながら血糖値の上昇を抑えることが可能です。

ここでは、食事制限中でも安心して食べられる食材と、気軽に取り入れやすいメニューの例を紹介します。

 

血糖値の上昇を抑える「低GI食品」

GI値とは、食品が血糖値をどれだけ上昇させるかを示す数値のことです。低GI食品を選ぶことで、血糖値の上昇をゆるやかにし、インスリンの負担を減らすことができます。

具体的には、玄米・オートミール・そば・全粒粉パン・豆類などが代表的です。白米をすべて玄米に変えるのが難しい場合は、白米に雑穀を混ぜるだけでも効果的でしょう。食事制限では「減らす」よりも「選び替える」発想が大切です。

 

食物繊維が豊富な「野菜・海藻・きのこ類」

食物繊維は、糖の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑える働きがあります。

特に、海藻やきのこ類、葉物野菜に多く含まれています。これらを毎食に取り入れることで、自然と食後血糖の急上昇を防げます。

おすすめの食べ方は、野菜から先に食べる「ベジファースト」。最初にサラダを食べ、次に魚や肉、最後にごはんを食べることで、血糖値の上昇カーブをなだらかにできますよ。

▼おすすめレシピ
・食物繊維プラス しめじの中華玉子炒め

 

タンパク源となる「魚・鶏肉・豆類」

タンパク質は、筋肉量の維持や代謝の安定に欠かせない栄養素です。糖尿病の方は、脂質の少ない魚や鶏むね肉、豆腐・納豆などを中心に摂るのが良いでしょう。たとえば、以下のようなメニューは、低脂肪・高たんぱくで栄養バランスも良好。理想的なメニューといえますね。

<メニュー例>
・焼き魚+味噌汁+おひたし
・鶏むね肉のソテー+ブロッコリー+玄米ごはん
・豆腐ハンバーグ+野菜スープ

▼おすすめレシピ
・高たんぱく ささみとピーマンの中華炒め

 

間食にもおすすめ「低糖質食品」

間食を我慢しすぎるとストレスが溜まり、結果的にドカ食いをしてしまうことがあります。そんなときは、低糖質で満足感のある間食をうまく取り入れましょう。

<おすすめの間食例>
・ナッツ類(食塩不使用のもの)
・無糖ヨーグルト
・チーズやゆで卵
・こんにゃくゼリー

どれも血糖値を上げにくく、噛みごたえがあるため満腹感が得られやすい食品です。ただし、カロリーオーバーにならないよう、量には注意してください。

参考記事:【管理栄養士監修】糖尿病の食事メニュー完全ガイド|1日・1週間の献立例と時短レシピ集

 

食事制限の目安となる糖質・カロリー基準

糖尿病の食事制限は「極端に減らすこと」ではなく、「自分に合った適量を見極めること」が大切です。特に、糖質を減らしすぎると体力が落ち、低血糖を招いてしまうことも。

そこでここからは、一般的な糖質・カロリーの目安と、主食をうまくコントロールするコツを紹介します。

 

一日の糖質摂取量とカロリーの基準

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によれば、一日のエネルギー必要量は、糖尿病のある方も健康な人とほぼ同じと考えてよい、と言われています。

そして、糖質の摂取量には明確な上限や下限は設けられていませんが、厚生労働省は糖質を含む炭水化物から摂るエネルギー量を、1日の総摂取カロリーの50〜65%とすることを推奨しています。

1日の必要カロリーは体格や活動量によって異なりますが、一般的な生活をしている成人の場合、男性はおよそ2,250〜2,750kcal、女性は1,750〜2,050kcalが目安。

このうち炭水化物からの摂取を50%とすると、男性で約1,125〜1,375kcal、女性で約875〜1,025kcalを炭水化物から摂る計算になります。

(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」)

 

主食(ごはん・パン・麺類)の適量と選び方

糖質の多い主食は、量と種類を工夫して取り入れましょう。白米や食パンを完全に抜く必要はなく、血糖値を上げにくい形で食べるのがポイントです。

<主食の食べ方の工夫>
・白米を「玄米」や「雑穀米」に置き換える
・パンは「全粒粉パン」や「ライ麦パン」を選ぶ
・麺類は「そば」や「こんにゃく麺」を活用する

また、食べる量に関しては、ごはんならお茶碗1杯程度(軽め)、パンは6枚切り1枚程度、蕎麦なら1玉が目安になります。 主食を抜くのではなく、「選び方と量の調整」でバランスを取っていきましょう。

<1食あたりの目安>
・ごはん:100〜150g(お茶碗軽く1杯)
・パン:6枚切り1枚程度
・そば:1玉(約120g)

 

糖尿病の食事制限をムリなく継続するコツ

糖尿病の食事療法は、1日や1週間で完結するものではありません。だからこそ、「頑張りすぎず、長く続けられる工夫」が何より大切です。ここでは、我慢しすぎないためのポイントや、ストレスを溜めない継続のコツを紹介します。

 

我慢しすぎないための工夫(置き換え・満足感アップ)

食事制限を長く続ける秘訣は、「我慢」より「置き換え」です。好きな食べ物を完全に禁止すると、かえってストレスが溜まり、反動で食べすぎる原因になってしまうことも。そのため、以下のように、満足感を保ちながら血糖値を上げにくい方法を取ると良いでしょう。

特に、ゆっくり噛むことで満腹中枢が刺激され、少量でも満足感が得られやすくなりますよ。「食べ方の工夫」こそ、制限を楽しみに変えるポイントです。

<置き換えの例>
・スイーツ → 無糖ヨーグルト+ベリー
・白米 → 玄米・雑穀米
・揚げ物 → グリル・オーブン焼き

 

ストレスを減らす食事習慣の作り方

人は「制限」と聞くと心理的に負担を感じやすく、やる気を失いやすいものです。だからこそ大切なのは、「完璧を目指さない」こと。多少の誤差があっても、全体のバランスが良ければ問題ありません。週に1度は好きな料理を少量楽しむ「ご褒美デー」を設けるのも効果的でしょう。

また、食事を記録する「食事日記」をつけると、自分の食生活を客観的に見直すきっかけになりますよ。小さな達成感を積み重ねることが、継続の最大のモチベーションになるでしょう。

 

家族や周囲と一緒に取り組む方法

糖尿病の食事制限は、本人だけでなく家族の協力も不可欠です。家族が同じ食事を共有すれば、負担も減り、継続しやすくなりますね。

ポイントは、家族の食事を「糖尿病食」ではなく「健康的な食事」として一緒に楽しむことです。味つけを薄めにしたり、野菜を増やしたりするだけでも、家族全員の健康にきっと良い影響があるはず。家族と一緒に買い物や料理をするのも良いですね。自然と食事制限が「苦痛」から「習慣」に変わっていくのではないでしょうか。

 

外食・コンビニ利用時の選び方

忙しい現代では、外食やコンビニを完全に避けるのは難しいですよね。しかし、選び方を意識すれば、外食でも血糖値を安定させることができます。

<外食・コンビニでのポイント>
・主食は「少なめ」または「玄米・そば」を選ぶ
・揚げ物より「焼き・蒸し料理」を選ぶ
・サラダやスープを最初に食べる
・甘いドリンクではなく「お茶・水」を選ぶ

コンビニでは、サラダチキン・豆腐・おにぎり(雑穀入り)・野菜スープなど、組み合わせ次第でバランスの取れた食事が可能です。ぜひ、無理をしすぎることなく、上記のポイントを取り入れてみてください。

 

まとめ

血糖値を安定させるためには、糖質・脂質・カロリーを意識しながら、バランスの取れた食生活を続けることが大切ですが、ポイントは、“極端に制限しないこと”。一人で抱え込まず、医師や管理栄養士のアドバイスを受けながら、自分に合ったペースで取り組むとよいでしょう。

糖尿病の食事制限は、「我慢するためのルール」ではなく、「健康を守るための習慣」です。「身体を整える」という意識で、ともに健康な未来へつなげていきましょう。

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